ナルトが覚醒して一番始めに感じたのは。
里にいた頃よりも確実に規則正しい生活を送っているはずなのに、身体中に重く圧し掛かっ てくる酷い倦怠感だった。


「…………あれ?」


外から聞こえてくるのは、耳に心地良い潮騒と小鳥のさえずり。
窓から差し込む朝日は明るく、梢の向こうに見える空は元の世界のモノよりも淡い色合いを しているが、それでも澄んだ青。
爽やかな朝だ。
オヒサマの下で同じように生きる全ての生き物にそっと愛を囁きたくなるような(そんなこ とをすれば憐れみの眼差しを向けられるか、正気を疑われるが)、本当に爽やかな朝。
それなのに、気が沈む。
嫌な予感がしたナルトは両手を使ってゆっくりと身を起こし、ナルトとシカマル用にと与え られた室内を見回した。
まだ早朝であるせいで照明がついておらず、薄暗い他は、特にたいした変化は見られない。
そもそも、自分の近く(この場合は屋敷全体が含まれている)で何か不審な動きがあれば、 『忍』という特殊技能職に就いているナルトがそれを察知することができないなど、たとえ 天地が逆転しようがありえないこと。
―――――とするとやはり、この異変はナルトの身体限定で起こっているのだろうか。
視界を狭める乱れた前髪を大儀そうに掻き上げたナルトは、そこでようやく、倦怠感と違和 感の正体に気が付いた。


「―――――あぁ、そっか……そういえばそろそろだったっけ…………」


音を立てて零れ落ちるのは、裕に背の中ほどまであると思われる見事な金糸。
剥き出しの白い肌に艶やかな金が纏わり付く様はどこか倒錯的で、その光景を見た者は皆一 様に息を呑むだろうが、当のナルト本人は『ちゃんと服着てるのに倒錯的も何もあるか』と
笑い飛ばす性質であるから、今のところ実被害はゼロである。
Tシャツの襟を摘んで胸元を覗き込んだナルトは、『男』の身体にはないはずのモノがそこに あることを確認し、小さく嘆息した。
取り乱したりはしない。
この世に生を受けてから十二年―――――今更ここで騒ぎ立てるほど、現在の状況に不慣れ な訳ではないのだ。
とりあえずナルトは。


「おーい、シカマル。起っきろぉー」


先程まで使っていた枕を投げ付け、いつもより幾分高い声でアチラの世界からの同行者を起 こしに掛かった。
『メンドクセー』が口癖の彼は不機嫌そうに唸ったが、ナルトと同じ『忍』という職業柄、
それでも完全に覚醒するまでの時間は短い。


「…………んだよ。まだ早いだろ」

「でも日の高さから言ってすぐに卯の刻になるって。とりあえず起きろよ」


横柄な物言い。
ナルトの口調がいささか強くなったのを感じて、シカマルは素直にベッドに別れを告げた。
こんな些細なことでわざわざ反抗するほど、人生捨ててはいないのだ。


「…………それで?」


大きな欠伸をしながらナルトを見たシカマルは、最近になってようやく見慣れてきたその姿に、合点がいったとでも言うように納得の声を上げる。
己の現状を認識してもらえたことに満足したナルトは、シカマルの目の前ですんなりとした 脚を組み、『どーしよ』と首を傾げた。


「『どーしよ』も何も、別にお前の意思一つだろ。しばらくの間変化するも良し、キラさん達に追及されはするだろーがそのままでいるのも良し、お前の自由だ」

「なぁんか薄情な言い方だな…………」

「メンドクセーこと言うなよ、事実だろ?俺は別にどっちでも構わねぇぞ、お前に合わせる だけだしな。ただ、コッチでは隠す必要もねぇのにチャクラ無駄使いするのは経済的とは言 えねぇんじゃねぇか?」

「別に金銭が絡んでいる訳じゃねぇけど……まぁ、確かに効率は悪そうだな」


ナルトのチャクラ量を考えれば数日間変化し続けることなど苦もないが、それでもRPGの ように、怪しげなアイテムで一瞬にして使った分のチャクラが回復することはまずない。
この(一概にそうとも言い切れないらしいが一応)平和な国でチャクラを大量消費する機会 があるとは思えなかったが、世の中には何事も例外というモノがあるのだから、やはりここ は万が一に備えて温存しておいた方が利口だろう。
シカマルの助言の後。
考える素振りを見せたナルトは、しばらくしてから顔を上げた。
生来の輝きの強さを取り戻した青い目を、笑みの形に。


「―――――じゃあ、お披露目といきマスか?」




遺伝子操作という行為が平然と行われているこの世界でも。
さすがに自分のような変り種はいないはず。









宇宙(そら)へ












階段を降りて来たナルトの姿を見たとたん、まずラクスが絶句した。
そして次にキラが絶句したが、その数秒後には端整な顔に笑みが彩られ、口元を押さえて可笑しそうに笑い出す。
『視覚的に面白い』ということではない。
そういう基準でナルトを見れば、笑える要素などどこにもありはしないのだ。
しかし、それでも笑えてしまうのは、昨日までとは明らかに違う姿でありながら、それを知 っているくせに平然と『おはよーございます☆』と可愛らしく笑う金色の度胸のせい。
記憶にあるはずのナルトは男で、それはそれは綺麗な顔をしていたが、確かに少年だったは ず―――――それなのに、この光景は一体全体どうしたことか。
下はいつものズボンだ。
これはいい。
青とオレンジ色の派手なジャケットは細い腰の辺りで結ばれているが、それも差し当たって の問題ではない。
問題なのは、暗部装束の内の一つである闇色のノースリーブを身に纏っている上半身。
『なぜその胸元に女性特有の膨らみがあるのか』ということである。
そう。
昨日まで少年だったナルトは、少女になっていたのです。


「―――――ナルト君。それは、えっと……『変化』ってヤツなのかな?」


笑いを噛み殺しながらの問いに。
ツインテールの美少女―――――ナルトは、やはり笑いながら答えた。


「変化の術は使ってません」

「ナルト君は女の子だったの?」

「いや、男ですけど」

「じゃあそれは女装?違和感ないトコが凄いよね」

「失礼な、そんな趣味ありませんよ。ホントに女なんです」

「でも男の子なんでしょ?」

「はい、でも今は女」


ニコリ☆


「ちょっ、限界……可笑しくて可笑しくて、僕もう…………っ」


ごめんね、と。
断ったキラは、ラクスの肩に手を置いて控えめに爆笑(この辺りがキラらしい)した。
期待を裏切らない反応に気を良くしたナルトは、遅れてやって来たシカマルに気付くと、『キ ラさんてば良い反応してくれんだぜ?』と、嬉しそうに御報告。
いまだに笑い続けているキラの隣りでは我に返ったラクスが今度はナルトを凝視してくれて いるが、そこにあるのは純粋な驚きであったため、気難しいナルトも文句を言うことはない。

「…………な、なぁに、どういうこと?」


肩を震わしながらの再度の問いに、シカマルと顔を見合わせたナルトが肩を竦めながら。


「実は俺、特異体質持ちなんです。腹の中に同居してる奴がいるんですけど、ソイツの影響 で一定の期間性別が逆転するんですよ。元の性別が男だから、男でいる時間の方が長いんで すけどね」

「『腹の中に同居』って、君の中に何がいるのさ」

「聞かない方がいいですよ?一種の生物兵器なんですけど、たぶんキラさん達はソイツ等の 概念自体がないと思うんで」


ナルトの中には、十二年前に木の葉の里を襲った『九尾』という妖狐が封印されている。
当時の四代目火影―――――ナルトの実父に施されたモノだが、しかし、それがなぜ『女』 になってしまう原因なのか…………。
その理由というのは、ナルトに言わせると『力勝負に負けたから』だ。
今のナルトの身体には二つの魂が宿っている。
一つはもちろんナルトのもの。
そしてもう一つは伝説の大妖のものであり、本来ならばありえないことなのだが、どちらの 人格も損なわれることなく、同時に存在し続けている。
実の息子に九尾を封じた四代目火影が偉大なのか、はたまた『器』の性能が良いのか。
ナルト自身もシカマルも断然後者だと考えているが、里人だったらけしてそんな事実は認め ないだろう。
とにかく、『封印』という名の接着剤により、本来ならば対面するはずもなかった二つの魂が 同居することになった。
そこで問題になったのが、九尾が持つ性が『男』で、ナルトが生まれ持った性もまた『男』 だということだ。
もともと、極端に自己主張が強い二人のこと―――――まぁ、反発し合うのは当然の流れと いうもので、結果、『器』の存在が危ぶまれるほどの主導権争いが勃発。
だが、いくらナルトが只人でなかろうと、所詮は『人間』であり『赤子』だった。
二つの意思はひたすら反発し合っていたが、悠久の時を生きてきた九尾に生まれたばかりの ナルトが勝てるはずもなく、勝敗はすでに決していたのだ。
負けたナルトは男の性をねじ伏せられ、九尾の住み心地が良いように、いろいろと弄られて しまったのである。
つまり、反発がない『女』の身体に改造されてしまったという訳だ。
ナルトにとって幸いだったのが、いくら伝説の大妖といえども、封印されている状態では完 全に性別を変えるだけの力はなかったということだけ。


「だから今だけは女なんです。わかって頂けました?」

「疑問はいくらでも残るけどね……でも、君が話したくないならこれ以上は聞かないよ。ど うせ僕等はこの現実をありのまま受け入れる他ないんでしょ?」

「そういうことになりますねぇ」


そして二人が交わすのは、共犯者的な笑み。
別に中身は変わっていないのだから、ナルトが少女になったからといって、二人の間柄がど うなる訳でもないのである。


「…………それにしても、本当にお可愛らしいですわ。それでは、さぞアチラでもおモテに なるのでしょう?」

「それは―――――……さぁ、どうなんですかね」

「嘘です。敵味方男女大人子供構わず、無差別に引っ掛けてます」


シカマルの告発に、ナルトは渋い顔をした。


「だから引っ掛けてないっつってるだろーが。成り行き上、いつの間にかそういうことにな ってるだけであって…………」

「なお悪い。大体お前は始めから」

「はいはい、痴話喧嘩はそこまで。僕から見ても二人はお似合いの恋人同士なんだから」


そこでピタリ、と。
ナルトとシカマルの会話が止まる。
キラにしてみれば今の科白は事実を踏まえてのフォローだったのだろうが、訂正しておかな ければいけない箇所があった。
確かキラ達の前でシカマルの対して『俺の旦那』と言ったことがあるような気がするが、こ の調子ではおそらく聞き流されていたのだろう。


「…………えっと、もしかしてキラさんには言ってませんでした?」

「何が?」

「俺とシカマル、『恋人同士』じゃないんですよ」

「え、そうなの?僕はてっきり…………」

「正確には、そういう過程全部通り越して『許婚』なんです」


さすがのキラとラクスも、この暴露には驚いたらしい。
「―――――二人とも、十二歳なんだよね?」

「はい。まぁ、忍はもともと早婚ですけど……でも、キラさん達『コーディネイター』の成 人も俺等と変わらないんですから、それほど驚くようなことじゃないでしょう?」

「そうだけど、ナルト君が男の子だから……いや、女の子にもなるから結婚自体は問題ない のかな。でもそれを可能にしちゃうってことは、もしかして二人ともそれなりの家柄だった りする?」


それなら一見無理なように思える婚約関係も頷けるんだけど、と。
呟いたキラに、ナルトもまた少々驚いたように。


「よくわかりましたね。シカマルは名家の跡取りで、とりあえず俺も『日向』っていう里一 番の旧家の当主に後見役を務めてもらっている身です」

「コイツは居候みたいなことを言いましたけど、木の葉は大陸一の忍の隠れ里―――――ナ
ルトの場合は父親が『火影』だったんで、その人さえ健在だったら、それこそ下にも置かぬ ような扱いを受けてたはずです」

「…………ナルト君のお父さんは亡くなってるの?」

「やだなぁ、そんな顔しないで下さいよ。ソイツのせいで散々な目に遭ってるんで、俺とし ては胸糞悪くて仕方ないだけなんですよ?もし仮に生きてたとしたらシカマルの言う通り状 況はもう少し変わってたんでしょうけど、今は 気が晴れるまで殴り続けら れたらいいなぁー って思うだけで、他には何も望んでないんで。現状で充分満足
してますよ、俺は」

「そう、ならいいけど…………」

「だからそんな顔しないで下さい。キラさんにそんな顔させたって知られたら、アイツに何 されるかわかったもんじゃありません」


そう言って、ナルトはおもむろに換気のために開け放たれていた大きな窓へと視線をやった。
いち早く不穏な空気を察知して、どこからともなく苦無を取り出す。
よく研がれた刃が白い光を放つのが、その光景の物騒さに似合わず美しい。
ナルトが窓の外に意識を向けてから気付いたシカマルもまた、今更ながらに毎朝の恒例行事 を思い出し、眉を寄せる。
そして、音を立てずに窓際へと歩み寄ったナルトは。

ガキッ!!!

硬度の高い資材でできている外壁に、なんの躊躇いもなく苦無を付き立てた。
そこは、ちょうど人間の指の間。
薄皮一枚を切ったせいで(もちろん故意に)、傷口からじわりと血が滲んでくる。
ナルトは哂った。


「おはようございます、デコさん。今日も懲りないスト ーキング御苦労様です。本日はどのようなメニューをお
望みで?」


キラ以外、全てがどうだっていい男―――――アスラン・ザラは、一目でわかるはずのナル トの変化にも気付かない。
口元を引き攣らせているくせに不敵に笑いながら、『キラを出せ!』とのたまいやがる。
もういっそ賞賛したくなるが、だからと言ってここで退いてはいけない。
相手は変態なのだ。


「あいにく、そのようなメニューは取り扱っておりません。本日も晴天―――――しかし、
そろそろ農家の方々的には雨が欲しい頃ですね。 農作物に付いた 『害虫』
も洗い流してくれますし、水遁のフルコースでもいかが
ですか?

アスランの返事も待たず、最高の笑みを浮かべて印を組もうとしたナルトだったが。
正規の玄関の方にもう一つ気配を感じ、そちらの方へと意識を向ける。
それをチャンスと思ったのか―――――アスランはすかさず窓枠の上へと乗り上げて来たが、
逆にその勢いを利用して床の上に引き倒してやると、身動きできないようにと、ナルトは彼 の肩から腕に掛けての関節を容赦なく締め上げた。
流れるような華麗な動作に湧き起こるのは、三人分の拍手。


「お見事!相変わらず鮮やかだね」

「ありがとうございます。ところで、なんかもう一人来たみたいですけど…………」

「あぁ、うん。たぶんソレは大丈夫だよ」


その言葉が言い終えられたと同時に駆け込んできたのは、ナルトと同じ金髪の、しかし自身 よりも確実に年上の少女だった。
真っ先に目に入った顔は、色彩の違いさえ無視すればキラとほぼ同じモノだったが、キラを 『静』とするならば、こちらは『動』だ。
受ける印象は正反対。


「キラ!!」

「やぁ、カガリ。朝から御苦労様」

「すまない!今度こそ脱走しないようにと厳戒態勢を取ったつもりなんだが…………っ」

「僕は大丈夫だよ。いつも積極的に駆除してくれる子がいるから」


当然です、これも家賃のうちだと思ってますから。
金髪の少女―――――カガリは、ナルトを見るとその琥珀色の目を大きく見開き、口をパク つかせた。
酸欠の金魚のようだったが、容姿が整っているだけに愛嬌がある。


「『あの子』って……お、女の子じゃないか!お前『とびきりの美少年』って!!」

「そうだったんだけど、ちょっと違ったみたい。とりあえず今は女の子。ナルト君、こうし
てカガリと顔を合わせるのは初めてだよね?僕の姉だよ」


ナルトは笑った。
今度は酷薄な笑みではなく、温かみのある笑みだ。


「初めまして、うずまきナルトです。先日からコチラにお世話になってます」

「い、いや、こちらこそ……キラからよく話は聞いている。なんでも、そこの変態からいつ
もキラを守ってくれてるそうで…………ホント、だったんだな」


半信半疑だったようだが、体格差があるはずの少女に押さえ込まれているアスランを実際に 見て、ようやくキラの話を信じたらしい。


「えぇ、まぁ。戦闘のプロですから」


謙遜もなくサラリと告げられた事実に、カガリは愕然とする。
その間にもシカマルはナルトの側に寄り、尚も抵抗し続けているアスランの首筋に懐から取 り出した長針を無造作に突き刺した。
とたん、アスランの動きが止まる。
殺した訳ではない。
全身の神経を麻痺させたのだ。


「ナルト、いつまでもソイツに触ってんなよ。曲がりなりにも今のお前は女なんだから」

「あっれーやきもちデスか?」

「いや、その心配はしてねぇわ。ただソイツ、キラさんのこととなると並々ならぬ力を発揮 するから……万が一ってことがあるだろ?」

「あぁ、そだね。それは俺も常々思ってる。手傷負わせても次の日には全快だし、コイツの 中にも尾獣がいるのかも」
「―――――っつーか、いるのは色獣だろ」

「あ、そっか」


ようやくアスランから手を離したナルトは、手に付着した変態菌をパンパンと音を鳴らして 叩き払い、それから大きな伸びをした。
イイコトをした後は実に気分が良い。
一仕事終えたところで、改めてキラにお伺いを立てる。


「キラさーん、デコさんどーしましょう?今日もカガリさんが引き取ってくれるんですか?」

「あぁ、うん。そうなんだけど、カガリとアスランはこれからプラントに行くんだ。その状
態すごく都合が良いから、あともう何時間か現状維持できたりしないかな?」


プラント?


「―――――できますよ。針抜くまでこのままですから」

「それは良かった。これで安心だね、カガリ」

「あ、あぁ、本当に。これで無駄な労力を使わずに済む……済むには済むんだが、コイツは 本当に復活するのか?キラに関すること以外はそれなりにマトモだから、タイミング良く元 に戻ってもらわなければ困るんだが…………」


それは、ナルトへの確認だった。
もちろん、 アスランを煮るなり焼くなり殺すなり生かすなり、
そんなことは自由自在 なのだが―――――その問いに曖昧な答しか返さなか ったナルトは、シカマルと顔を合わせ、そして次にキラを見た。
非常に言い難そうな、それでいて、好奇心を隠し切れない様子に。
ナルト達の考えていることを悟ったキラは、『あぁ』と、短く声を上げる。


「もしかして、二人とも上に興味があるの?そうだよね、ソッチじゃ行きたくても肝心の手 段がないもんね」

「い、いえ、別にそういう訳じゃ…………」

「でも行きたいんでしょ?」

「それは、まぁ……行けたらとは思いますけど、実際問題無理じゃないですか」

「そうかな。カガリ、突然だけど随行員増やせない?ボディーガードとしてこの子達連れて ってやってよ」


キラの爆弾発言に、全員が全員とも驚愕した。
特にナルトの反応は顕著だった。


「キ、キラさん!!俺等別に…………っ」

「まぁまぁ、ちょっと黙ってなって。カガリ、駄目かな?姿形は変えられるし、それに何よ り二人とも優秀だよ。純粋に、戦闘能力だけならこの世界の誰よりも強いと思う。カガリの ボディーガードなんだから、別に『MS』なんて操縦できなくたっていいんだし。保護者と して僕も行くからさ」

「…………お前、本気か?」


『馬鹿なことを』とでも言いたげなカガリに、キラは『本気』と言って笑った。


「コッチにいる間は、二人とも僕の妹と弟なんだ。異世界から来たからって理由だけで、可 愛い妹達を引き篭もらせたくはないしね」


よく言う。
ナルト達は知っている。
金には不自由していないと言っても、 キラが『引き篭もり』であること に変わりはないということを。

「―――――二人が来る分にはなんの問題もない……だが、 お前が来るとなると 必ずアスランが暴走するだろう

「なんだ、そんなこと。それこそ大丈夫だよ。だってナルト君がいるじゃない。ねぇ?」


話を振られ、とりあえずナルトは頷いておいた。
いいのか。
これでいいんですか。
いやいや、そういうことなら全力でカガリさんと キラさん の護衛を務めさせて頂きます が、本当にいいんですか?
喜びよりも困惑の割合の方が大きくて、ナルトはラクスにも確認を取るかのように視線を送 ったが、肝心の彼女は恨めしそうに溜息をつきながら『羨ましいですわ。皆さん御一緒です のに、わたくしだけ留守番ですのね…………』と、悲しげにぼやいている。
え、もう行くこと決定なの!?
しばらく考えていたカガリは、結局キラに言い包められて『ならいっか』と安直に答を出し てしまった。






オーブという国は、代表の弟が決定権を持っ ているのだと思い知らされた瞬間。











END

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