※ シリーズ本編と時間軸が違うだけでなく細かい設定も無視しておりますが、何分勢い任
せの産物ですので、突っ込まないでやって下さい。














変態覆面上忍との再会はどうとも思わなかったが、三年もの間疎遠になっていた同僚との再
会は、それなりに嬉しいものだ。
それが実の親と慕う日向一族の当主夫妻や、兄弟とも思える幼馴染達や、裏任務での相棒で
あるなら当然。
ましてや、将来自分の夫となる人間との再会であるなら言うまでもない。
この日この時この瞬間のために、帰郷することを黙っていたと言っても過言ではないたろう。
不意打ちは卑怯かもしれないが、皆の驚いた顔を見たかったのだ。





だがどうして、この自分が目の前の光景に度肝を抜かなければならない?












今ここにある危機

アイツに限って、と思っていた。 アイツに限ってそんなことはありえない、と。 だからヒナタやキバに何を言われようとシカマルに対しての評価は変えなかったし、変える つもりもなかった。 そうするに値する人物だと信じて疑わなかったのだ。 「シカマル、テマリさん!ほら、誰だと思う!?」 帰ってきた早々、シカマルとテマリが仲睦ましげに並んで歩いている光景を見るまでは。 「おい、ナルトじゃねーか!!」 そう。 自分に気付いたシカマルがナルトの期待通りの反応をしようと、もうそれどころではない。 なんてったって、三年振りの再会がよりによってコレなのだ。 確かにテマリは美人で頭も良いし、普通の女の子のように浮ついたトコロなどないし、さぞ かしシカマルとは話が合うことだろう。 ナルトとてそれぐらいはわかっているつもりだし、シカマルの交友関係をいちいち詮索して 縛り付けるようなことなどしたくはない。 そもそも、ナルト自身そんなに狭量ではないつもりでいるから、二人がどういう関係を築こ うが、絶対に嫉妬に狂った女のように喚き散らしたりはしないのだ。 だが、時と場合というものがあるのではないだろうか。 九尾を手に入れるために本格的に動き始めた暁の執拗な干渉に耐え、先を見越して情報収集 のために各地を奔走していたナルトがどうにか目処を立てて帰郷し、最初に見た光景が、 未来の夫と自分以外の女の2ショットというこの仕打ち。 今まで味わったことのない凶悪な感情が、自分の中で暴れ出した。 「…………何してんの?」 口から洩れた出た声は、思ったよりも低い。 「もしかしてデート?」 「馬鹿、そんなんじゃねぇよ」 否定の言葉を発したシカマルは、相も変わらずメンドクサそうだった。 「へぇ〜……違うんだ…………?」 ナルトの周りの空気が更に重苦しく緊迫したモノになる。 それに気付いたシカマルは、顔を引き攣らせながら改めてナルトを見た。 三年前と変わらずひたすら青い瞳は、なんの感情も宿してはいない。 シカマルは知っていた。 こういう時のナルトは、とてつもなく怒っているのだ。 「お、お前、なんか誤解してるだろ?」 「誤解?なんの?今ここにあるモノが全てを物語ってる んじゃねぇの??」 「違う!テマリもなんとか言ってくれ!!」 「そ、そうだぞ、うずまき!もうすぐ中忍試験があるから、その打ち合わせで私は砂と木の 葉を行ったり来たりしてるだけだ!!冗談はよせ、大体なんでこんな奴と…………っ」 「それはコッチの科白だ!んで、俺は試験の係になってっから砂の使者さんをお見送りする よう言われただけだ!!」 IQ200の旦那様は自分がテマリと一緒にいる理由を説明してくれたが、ナルトに はどうしても弁解の言葉にしか聞こえない。 テマリも顔を青くして『誤解だ!』と主張しているが、今のナルトにはそれさえも目障 りで耳障りだ。 もちろん、『女』という生き物を殊更大切にするナルトがテマリを責めるはずがないのだが、 聞く耳を持とうとしないナルトの態度が少なからずテマリを傷つけているのだと理解するま での余裕は、今のナルトにはなかった。 しかし、癖というモノはなかなか侮れない。 長年培ってきた女性尊重精神は、フォローの言葉だけは忘れさせてはいなかった。 ナルトは微笑む。 「あぁ、ゴメン。大丈夫、テマリを責めてる訳じゃねぇよ。俺はソイツの優柔不断さと誠意 のなさに、今までにないくらい腸煮えくり返ってるだ けだから」 あまりにも綺麗なその笑顔に皆一同見惚れかけたが、そんな状況ではない。 見た目と言動がまったく噛み合っていないのだ。 「い、いや、ナルトさん…………?」 御機嫌伺いでもするかのようなシカマルに、ナルトは更に深めた笑みを向ける。 首を傾げた拍子に揺れた金髪が太陽の光を弾いたせいで、シカマルの視覚が少量の眩しさを 訴えると、図ったかのようなタイミングの良さでナルトの青い双方が危険な光を放った。 いろいろな意味で、直視できない。 「シカマル、俺って結構モテるんだ」 「…………ず、ずっと前から知ってる」 「そ?なら話は早い。この前さ、エロ仙人と一緒に砂に行く用があって、その時偶然我愛羅 に会ったんだ。少し時間あったから話したけど……驚いたよ、何がってアイツが風影になっ てたってことなんだけど、そしたらアイツ俺になんつったと思う?」 「な、なんですか…………?」 「『地位も権力も手に入れた。あとはお前だけだ、嫁に来い』って☆」 「「「…………」」」 絶句、である。 シカマルもテマリもサクラも、その場にいる全員が言葉を失った。 「あとこれは黙ってようと思ったんだけど、暁のメンバーが入れ代わり立ち代わり俺んトコ 来ては、熱烈な勧誘してくんの。奴等も馬鹿じゃねぇから、側にエロ仙人がいない時を狙っ て来たりする訳。そーすると手を握ることから始めて、熱心に『暁に入った場合、それに付 随する利点』ってのを語ってくるんだよ。それこそ、俺のためならなんでもしてくれるって。 なんでもだぜ?特に熱が入ってたのはやっぱイタチかな、一度流され て押し倒されそーになった「「なんだ、ソレは!!?」」 絶句どころではない衝撃発言に、シカマルとテマリの二人が過剰反応した。 ナルトに思いを寄せている二人にしてみれば、聞き捨てならない科白であったのだ。 器用にも片眉だけを上げて見せたナルトは、たいしたことではなさそうに言葉を紡ぐ。 「なんだって、別に言葉通りの意味。えぇっと、今なんの話してたっけ―――――あ、そう そう。だから俺、相手には困らないんデス。どーせ俺なんて賭博の賞品だったんだし、こん なママゴトみたいな関係、そろそろ潮時だったのかもな?」 「おい、ナルト!少しは俺の話をだなぁ…………」 「何も言うな。二人がお似合いだってことは、今ので充分わかったから。そーと決まったら 日向に知らせなきゃだな。奈良の奴にもこのこと伝えて……あ、キバにも教えなきゃ。我愛 羅にも、今の状況を踏まえた上での返事を用意するか」 「「冗談じゃない!!!」」 シカマルとテマリが、同時にナルトを怒鳴りつけた。 「ナルト!お前、自分が何を言ってるのかわかってんのか!?」 「そうだぞ、うずまき!なんだってあんな奴の言葉をまともに受け取るんだ!?我が弟なが ら、アイツの性格の悪さは天下一品だぞ!?そのくせ独占欲も強くて、結婚なんてしたら一 歩も家の外に出れないに決まってる!!」 「俺だって性格の悪さでは負けマセンよ、義姉さん義姉さん! その単語が、テマリの胸にクリティカルヒットした。 瞬時に真っ赤になった顔を両手で押さえ、小さく『いいかもしれない……』と呟く。 普段は冷ややかな色しか宿さない目も、この時ばかりは熱っぽい。 そんなテマリの様子を真横で見てしまったシカマルは、その現金さに呆れてしまう。 「…………お前結局、ナルトならなんだっていいんじゃねぇか」 「五月蝿い!!」 射殺しそうな目でシカマルを睨んだテマリは、ナルトの腕にちゃっかりと自分の腕を絡め、 シカマル相手では考えられないような笑顔をナルトに向けた。 「なんだかんだ言ってお前は我愛羅とばかりつるむんだから、少しは私の相手もしろ」 そう言われたナルトは、少しだけ考えた後、躊躇せずに大きく頷く。 「まぁ、テマリと個人的に会うことは確かにそう多くねぇからな。接待でもなんでもしてや るよ。それで、砂の使者様は何がお望み?」 「とりあえず、コイツがいない場所に行きたいな」 「同感だな。んじゃ、俺の家来る?無駄にデカイだけでなんもねぇけど」 「座れればそれで充分だ。私も必要最低限の物しか身の回りに置かない人間だから、逆に落 ち着いていい」 「わぁ、もしかして俺等って相性バッチリ?」 わざとらしく、シカマルに聞こえるように。 その時に白々しいまでの弾んだ声を出すのは、ご愛嬌。 ナルトはサクラに『じゃ、そーゆーことで接待が入ったから俺はこれで帰るってば』と告げ ると、シカマルには目もくれずスタスタと歩き出した。 その背中からは俺に触るんじゃねぇとでも言うような空気が漂っていて、 物怖じせずにズバズバと物を言うサクラでさえも黙らせるほどの異様な力がある。 「ナ、ナルトって、怒ると豹変するタイプなのね。初めて知ったわ…………」 真実は怒ると豹変するのではなく、サクラが豹変したと思い込んでいるナルトこそが仮面を 外した本物の姿なのだが、それをサクラが知るはずもない。 サクラはやけに会話が弾んでいるらしいナルトとテマリの後姿を意外そうに眺めながら、自 分の脇で真っ白になっているシカマルに忠告した。 「…………ねぇ、シカマル。アンタとナルトがそういう関係だとは知らなかったけど、第三 者の目から見ても今のはマズかったわよ。プライド捨てて土下座してでも、一刻も早く謝っ た方が良いと思うわ」 じゃなきゃ間違いなく破局。 最悪、あてつけに他の人間とお付き合い宣言する かもよ? サクラの不穏な発言は、心ないナルトの一言で打ちひしがれたシカマルの耳には届いていな かった。

END

†††††後書き††††† オリジは全てストックだったので、ホントに久々の更新。やっとこさ仕上げた物が短いのは、 ナルト君ではありませんがそれこそご愛嬌です。今週のジャンプを読んで、何かせずにはい られませんでした。我愛羅が風影になっていたことも、ナルトと再会した時のシカマルのあ の心底嬉しそうな顔も萌えましたが、それより衝撃的だったことは、シカマルの 阿呆めが浮気してやがる!!!ってことですかね、やっぱり。シ カテマだかテマシカだかよくわからんのですが、どっちであろーとその二人の組み合わせは お気に入りデスよ?なかなかお似合いですからね。でもだからって、我等がナル ト様の存在を無視するなんてことは絶対にあっち ゃいけませんよぉー\(∂∀∂)/(怒) …………そう思ったんです。あーちょっとスッキリ☆
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