砂漠に降る雪 ‐参‐
肺の辺りから込み上げてくるモノを感じたナルトは、小さく咳き込んだ。 それはほんの数回で治まるが、ナルトに向けられる我愛羅の視線は優しいものではない。 その真意が、忍にあるまじき体調管理の悪さからくるものではないということは、その視線
に含まれる気まずさでわかる。 急激に気温の変化に対応しきれなていないのは自分でも情けないと思うのだが、ナルトの努
力でどうにかなるものでもないのだから仕方がない。 つい数時間前までは、『一刻も早く涼しいところに身を置きたい』と考えていたのに。 九重が言う通り、人間という生き物は本当に自分勝手だと実感させられる。 「さてと、我愛羅。いい加減その何か言いたそうな顔、止めたらどうだ?」 抜けるような瞳の色はそのままで。 見た目の年齢を三、四歳上げ、髪の色を鮮やかな赤色に変えたナルトは、目立ちすぎる瓢箪
を外し、ナルトと同じく年齢を上げただけの我愛羅を一瞥した。 「言いたいことがあるならはっきり言えって」 「タイムリミットとはなんのことだ」 『あぁ、やっぱり聞かれていたか』と。 ナルトは苦笑する。 「お前のその体調不良と何か関係があるのか」 「あ、バレた?砂漠の時は上手く煙に撒いたつもりだったんだけど」 「バレたも何も、体調管理には一番気を配っていそうな人間が隣りで咳を繰り返していれば、
嫌でもそう思うだろう」 何を言ってるんだとばかりに睨まれ、ナルトは更に困ったように笑った。 「この雪は単なる自然現象ではない。かすかに妖力を感じるからな。テマリやカンクロウは
気付かなかったようだが、俺はこの妖力をよく覚えている」 「…………へぇ〜何?」 「忘れるはずがない。ソイツだろう?」 我愛羅の視線が腹部に向けられ、ナルトは九尾の封印式がある部分を片手で撫でた。 「さすが憑き者仲間。妖関連の事象に関しては他の追随を許さねぇな。だけど残念、この雪
を降らせてんのはコイツとはまた別なんだよ」 「そうか。だが、そんなことはどうだっていい。俺が聞きたいのは『タイムリミット』の本
当の意味だ」 口元に笑みを讃えたまま、ナルトは何やら騒がしい酒場の横でその足を止めた。 表情は柔らかいのに、我愛羅をひたと見据える瞳にはヤケに力が込もっている。 ナルトよりも数歩離れた場所で立ち止まった我愛羅は、『お前と俺は違う。だから、俺とお前
の行く末はまったくの別物だかんな』との前置きに、眉のある部分を寄せた。 「ナルト…………?」 「お前は俺と違うけど同じだから、言ってもいいかもしれないな」 意味があるのか、そうでないのか。 とにかく、よくわからない言葉遊びのような言動だ。 「ナルト?」 ますます不審に思った我愛羅が再びナルトの名前を呼んだ、まさにその時。 横の酒場から発生したとてつもない爆音と熱風が、容赦なく通行人を襲った。 無論、真横にいたナルトと我愛羅も例外ではない。 しかし、二人は忍であったから、異変に気付くと同時に安全圏へと避難したため、防衛手段
を持たない一般市民とは根本的に違うのだ。 ナルトは、すぐさま意識を戦闘時のものに切り替えた。 「おい、我愛羅!!過激派のテロってやつは、自分達の本拠地でも起きるもんなのか!?」 「知らん!少なくとも、ここでのテロは今回が初めてだ!!」 それを聞くと、状況を理解しようと周囲に素早く視線を走らせる。 『なぜ』とか『どうして』だとか。 その手の疑問は絶えず生まれてくるが、あいにく、そんなことを考えている余裕はない。 二人の間には爆風で吹き飛ばされた壁の一部や柱が『あの一瞬でどうやって』と思ってしま
う程うず高く積み上げられ、互いの状態を確認することはできない。 だが、声の調子からして無傷なのは確かだろう。 爆心となった店内は、目も当てられない状態になっていた。 窓枠から踊り出る真っ赤な炎は軒下を焼き、店舗の二階部分を焼き、すでに隣接している両
隣の店舗にまで移っていた。 その炎の勢いは衰える気配を見せず、放っておいたら拠点全体にまで広がってしまうのでは
ないかと危惧する程だ。 このままでは、間違いなくまずいことになる。 さて、どうしたものか。 悩んでいたのは、時間にすればほんの数瞬。 水不足である地域で水遁系の術は使えないから、いっそのこと周囲の家を全壊させて火を食
い止めようかと思ったところに、どこからか子供の泣き叫ぶ声が聞こえた。 切羽詰まった絶叫にも似た声が呼ぶのは、父親だ。 「お父さん!!お父さん!!!」 わりと近い。 ―――――というか、すぐ側だ。 声がした方に視線を巡らすと、瓦礫と材木の山の辺りに人間の衣服のような物が見えた。 「あれかっ」 ナルトは迷わずに身体を動かし、邪魔な物をどかすと、ぽっかりと空いた人一人分のスペー
スを覗き込んだ。 そこにいたのは、子供を守るようにして抱きこんだ中年の男。 頭から大量の血を流し、呼吸をしている様子はない。 剥き出しの首筋に手を当ててみたが、既に脈もなかった。 「クソッ!」 隠すことなく舌打ちし、子供に呼び掛ける。 「おい、出られるか!?」 「お父さん!!やだよぉ、なんでお返事してくれないの!?ねぇ、お父さん!!!」 父親の腕に守られ奇跡的に無事だった子供は、自分の父親がすでに死んでしまっているとも
知らず、必死になってひたすら呼び続ける。 ナルトの声など聞こえてはいないのだ。 とりあえず、まだ生きている子供の方をどうにかしなくては。 しかし、十代前半の身体はかなり鍛えられてはいるが、所詮は子供のもの。 いくらナルトが暗部の部隊長であろうと、九尾の器であろうと、ただ単純に大量の瓦礫や木
材を動かすような腕力が求められる仕事は難しい。 隙間から二人を引き摺り出そうと手を掛けてみたが、子供はともかく父親の身体にはかなり
の重量が掛かっていて、ピクリとも動かずに音を立てるだけで終わってしまう。 本当なら、この救助にはもっとたくさんの人手が必要なのだから、仕方がないことなのかも
しれない。 他に人を呼ぼうにもすでに周りは火の海で、助けが来る可能性は皆無に近かった。 少々残酷かもしれないが、父親の方は置き捨てるしかないだろう。 そう決意したナルトは再び上半身を潜り込ませ、子供をしっかと抱き締めていた父親の両腕
を外すと、嗚咽を洩らすどころではない状態の子供を引き寄せ、硬くて暗い場所から一気に
外へと連れ出した。 だが、自分が救助されたのだと理解できない子供は、ナルトの腕の中でがむしゃらに暴れる。 「離してよぉ!!お父さん!!お父さんお父さんお父さ―――――んっ!!!」 空しく宙を蹴っていた子供の足が、運悪く突き出ていた柱のような木材に当たる。 すると、上に積み重なっていた諸々がバランスを崩し、その内の幾つかが子供を抱えたナル
トに向かって落下してきた。 「ったく、ついてねぇな!!」 印を組む暇も、鋼糸を取り出す暇もない。 ナルトは落下してきた瓦礫を渾身の力を込めた拳一つで砕いたが、時間差さえもなく続けざ
まに襲われては、さすがに対処できない。 まさに、絶対絶命。 自分には九尾の驚異的な回復力があるから怪我を負ってもなんとかなるかもしれないが、こ
の子供は本当に普通の一般人。 子供の父親がそうしたように子供を抱き込み、来るべき瞬間に備えて息を詰める。 だが、その瞬間はいつまで経っても訪れなかった。 「…………あ?」 少々すっとぼけた声を発して顔を上げると、まず目に入ったのは鮮やかな茜色。 それが人間の服だと理解した時に、頭上から声が降り注ぐ。 「無事かい?」 落ち着き払った、しかしどこか掠れた声。 誰かに助けられたのだ。 それがわかったナルトは、頭上を仰ぎ見た。 焦げ茶色の髪に紫闇の瞳の、三十代前半―――――いや、ギリギリ二十代と言えるような年
齢の男だった。 男の手には棒状の物が握られていて、それが二つの苦無を組み合わせたような、その両端の
刃にチャクラを上乗せした武器であると悟ったのは、男の容姿を確認してから瞬き一つした
後。 屈み込んで様子を窺ってくる彼にぎこちなく頷き返し、ショックで失神してしまった子供を
抱いたまま、ナルトはゆっくりと立ち上がった。 「イテテ、ちょっとしくじっちゃったかな。破片が掠ったみたいだ」 そう言うと自分の手の甲で顔の傷に触れ、拭い取った赤い血を舐め取る。 腕についた擦り傷もついでに舐めると、ナルトと目が合った彼はニコッと笑った。 「君、すごいね。素手で瓦礫を叩き割っちゃうなんて」 はっと我に返ったナルトは、忍具を携帯していることとチャクラを平然とコントロールして
いることから目の前の男が砂忍だと気付き、お礼もそこそこに数歩分の距離をとった。 その茜色の衣から、目が離せない。 オレンジ色は嘘吐きの色。 人を騙す道化師の色だ。 自分がそうであったように。 「うわぁ、そういう反応さすがの俺も傷付くなぁ〜。純粋な人助けだったのに、それを全面
否定されてるみたい」 「アンタ、何者だ」 「あれ、砂の里にいて俺のこと知らないのかい?どうりで見かけない顔だと思った。君程の
容姿の子を忘れるなんてありえないからね。君は外の人間という訳だ」 その根拠にはかなり疑問を感じるが、意外と鋭いところが憎たらしい。 胡散臭いその笑みに、虫唾が走る。 取り繕うこともできやしない激しい嫌悪感が、腹の置くから沸々と湧き上がってくるものを
止めることができなかった。 一度や二度ならいいが、全然笑ってない目で笑い続けるのは止めてほしい。 「聞いているのはこっちだ。アンタ何者だ?」 その問いに重なるように、ナルトの身を案じる我愛羅の声が。 「ナルト!!」 火の海を顧みず現れた我愛羅は、無傷のナルトを見て強張った表情を幾分和らげたが、茜色
の男を見たとたん、驚きのあまり目を大きく見開く。 「おや、我愛羅。なぜ大きくなってるんだい?それに『ナルト』だって?」 例の目を向けられ、ナルトはぐっと奥歯を噛み締めた。 男の見た目は全然悪くないのに、どうしようもなく気持ちが悪い。 品定めするような目でナルトの全身を見た男は、やがて納得したように頷いた。 「あぁ、君が『うずまきナルト』か。木の葉くんだりからわざわざ、砂へようこそ。俺に会
いに来てくれたのかな?」 その台詞に、ナルトもまた大きく目を見開いた。 「まさか、アンタが」 「そう、俺が神楽だよ。初めまして、英雄の息子。会いたいと思ってたんだ」 それこそずぅっとね、と。 意味ありげに付け足され、変化をしているナルトは、助け出した子供をぶら下げながら『今
から木の葉に戻ろっかな』などと、実際にはできもしない現実逃避を図った。 時は少し前に遡る。 「あ―――――!!姫ってば赤毛になってる!!!服装もそれっぽいし、なんかオリエンタ
ルな感じがしてイイよねっ☆すっごい目の保養〜♪…………隣りの坊やは邪魔だけど」 ナルトから『別行動』という指示を出されていたにも関わらず、一定の距離を置いてしっか
りと張り付いていた伊吹は、初めて見るナルトの姿に興奮するあまり、人様の家の屋根を連
打していた。 屋根瓦を割らしかねないその勢いは、もちろんナルトにバレないようにと配慮されたもので
あるから、伊吹にしてはかなり控えめである。 接合部分が弱いのだろうか。 伊吹が衝撃を加える度にガタガタと悲鳴を上げる瓦の、なんと不憫なこと。 『堪らない』と顔をニヤけさせた伊吹は、隣りにいるはずの、私兵の中で最もナルトフリー
クである鴇にすかさず声を掛けた。 「ちょっと、鴇!見て見て!!姫ったら―――――って、えぇっ!?」 キラリと光るのは、二つの丸いレンズ。 黒い本体を隙間なく固定し、鴇は万全の状態でナルトの晴れ姿を見ていた。 そう。 鴇の手の中にあるのは。 「…………ぼ、望遠鏡なんて、今までどこに隠し持ってたのさ?」 唖然とした伊吹の呟きは、どうやら鴇には聞こえていないらしい。 その証拠に、鴇は常にない熱心な表情で、一心不乱にナルトに熱い眼差しを送っていた。 言うなれば、その表情は『悦』だ。 しかし、機嫌が良かったはずの鴇が、小さく舌打ちする。 我愛羅がナルトの直線上に立ち、ナルトの姿を隠したのだ。 『無粋なことを』と唇が動いたのを見た伊吹は、がくりと肩を落とす。 「その気持ち、わからなくもないけどね。そういう問題じゃないと思う」 数十秒前の自分のことは綺麗に棚に上げた伊吹は、これ以上鴇に関わるまいとして再びナル
トとその同行者に視線を戻した。 通りの端に立ち止まった二人は、動く気配を見せない。 「それにしても何話してるんだろうねぇ。ここからじゃ全然聞こえないや」 そう呟いた瞬間。 とてつもない轟音と共に、痛いほどの閃光が押し寄せる。 成り行きを見守っていた伊吹と鴇は、顔色を変え、咄嗟に立ち上がった。 轟音と閃光が収まった後の通り沿いは、混乱の渦中になっていた。 始め何が起こったのか理解することができなかった通行人が悲鳴を上げ、蟻の子を散らすよ
うに無秩序に逃げ惑う。 数秒前まではなんの変哲もなかった家屋は爆風で薙ぎ倒され、見るも無残な状態だ。 しかし、そんなことよりも二人にとって重要だったのは、『主の安否』ただ一つ。 すぐさま飛び出そうとした鴇を、伊吹が片手で制する。 「待って、鴇!姫があれぐらいでどうにかなるとは思えないよ!!きっと…………ほら、い
た。狸君とは離れたみたいだけど無事だ!!」 まだ出る時ではない。 もう少し待つべきなのだ。 あと少し待てば、何かが起こる。 それを本能で理解した伊吹は、ナルトの無事を確認しただけでナルトの下へと駆けつけよう
とはしなかった。 鴇は伊吹に責めるような視線を送ったが、『お願い、もう少し』と言われ、一歩踏み出した足
を渋々引く。 伊吹は目を凝らし、ナルトの周辺を注意深く観察した。 『テロ』と言っても構わないであろう先程の爆破のせいで視界こそ悪いが、そこはそれ。 何かに気付いたらしいナルトが、迷わず瓦礫の山に踏み込む。 本質は優しい主のことだから、生き埋めになった誰かでも助けようとしているのかもしれな
い。 ここからでは確認できない遣り取りを何回かした後、ナルトは小さな子供を引き摺りだした。 しかし、その子供が暴れたはずみで、うず高く積み上げられていた瓦礫が崩れた。 ナルトは片手に子供を抱えている。 術を発動させるための印も組めないし、避難する余裕もない。 数個は素手でどうにかできたようだが、それよりも大きい物がわずかな時間差さえもなくナ
ルトに向かって落下する。 危ない、と。 今度こそ飛び出そうとした鴇だったが、その一瞬後に起こった事態に、今度は自分から足を
止めた。 ナルトを助けた男がいたのだ。 直前まで周囲にはそれらしい人影もなかったのに、妙な話である。 しかも、男の手に握られているのはまぎれもなく忍具の一種。 男は忍らしい。 その男が纏う鮮やかな茜色が、やけに目につく。 鴇の隣りで、伊吹が息を呑んだ。 「アイツ、まさか―――――ッ!」 半分拉致される形で、テロがあった場所から少し離れたところにある建物に連れ込まれたナ
ルトは、半眼になったまま皮張りのソファーに一人で沈んでいた。 四人掛けの大きな物だが、その隣りに我愛羅の姿はない。 ナルトと二人きりで話をしたいと申し出た神楽が、見張りをつけて別室に放り込んだのだ。 神楽にとっては裏切りでしかない行為を働いた後にしては、その処置はかなり寛大な部類に
入るだろう。 「俺に隠れて何かしていると思ったら、こういうことだったとはね。―――――ということ
は、テマリとカンクロウも共犯かな?」 「だったら何?言っとくけど、全部アンタのせいだぜ?」 「まぁまぁ、そんな怖い顔しないで。はい、コレ」 天然の木目が美しい木製の器を目の前に置かれ、ナルトは形の良い眉を顰める。 肺の中には、透き通った桃色の液体が入っていた。 見るからに怪しいそれを、どうやら『飲め』ということらしいが、仮にも忍ともあろう者が、
初対面の人間―――――しかも、立場的には敵対している側の人間から出されたものを易々
と口にするはずがない。 神楽も忍であるならそれぐらい承知の上だろうに、明らかに戸惑っている様子のナルトには
目もくれず、マイペースに飲み続けている。 本当に、何から何まで気に食わない男だ。 とりあえずナルトは自分用に用意された杯を遠ざけ、神楽の杯を奪い取り、ようやく最初の
一口を口に含んだ。 神楽が今まで飲んでいたものなら問題ないと踏んでのことだったが、その次の瞬間、ナルト
は瞬時に杯から唇を離した。 信じられない物を見るような目付きでそれを半場呆然と見詰め、もう片方の手で口元を押さ
える。 味自体は普通の酒。 しかも、誰もが認める『美味』というヤツだ。 だが。 ナルトがすぐさま隣りの神楽に視線を送ると、やはりと言うべきか、神楽は笑っていた。 その神経の図太さというか、身体の頑強さというか、とにかく何もかもがありえない。 「アンタ、こんな物飲んでたのか」 「気付いたみたいだね」 「まともなもんじゃないとは思ってたけど…………俺を試したな?」 呼び捨てでいいよ、と。 言った神楽は、奪われてしまった自分用の杯を諦め、ナルトのために用意した杯に再び口を
付けた。 「それで、種類はわかるかい?」 そう問われ、ナルトは躊躇いながらも渋々口を開いた。 「…………紅揚羽」 揚羽蝶のようにあでやかな姿の、血よりもなお鮮やかな紅色の花だ。 山岳地帯に群生している百合科の植物で、鳥兜の二倍近い毒性を持っている。 無味無臭であることから主として要人暗殺などに使用され、ここ数年、岩と砂だらけの風の
国に多く流れてくるようになった。 致死量がわずか一つまみという、毒薬である。 今二人が口にした液体は数百倍に薄められているから死ぬようなことにはならないが、それ
でも身体に良い物ではないことは確かだ。 「それ以外のなんだっていうんだ」 「正解。君、最高だね」 満足気に目を細めた、神楽の吐息混じりの感嘆に。 ナルトは気まずそうに目を伏せ、今度こそ完全に杯を遠ざけた。 「一度口にした物は、薄めてあってもわかる」 「へぇ…………穏やかな話じゃないね」 「別に。ちょっとしたトラブルに巻き込まれただけだ。それより、なんだって俺はこんな物
を飲まされなきゃならないんだ。毒薬だぞ?しかも、俺だけかと思いきやアンタも飲んでる
し…………そっちの意図がまったくわからないんだけど」 『そうだろうね』と同意した後、神楽はグラスの中の氷をカランと鳴らした。 紅揚羽は、粉末状の物を規定の濃度まで薄めると、阿片や大麻のように非常に依存性が強い
悪性薬物になる。 他の薬物に比べて中毒症状が軽いため、深く考えもせずに手を出す馬鹿が多い。 だがそんなに上手い話があるはずもなく、使い続けていればある日を境に心肺機能が著しく
低下し始め、身体の細胞を再起不能なまでに破壊し、遠からず死を迎えるという。 誰が何を飲もうと他人の行動にまでいちいち干渉する程お節介ではないが、やはりマズイの
ではないだろうか。 確かに飲みやすく美味な酒だが、どこまでも紅揚羽がついて回るなら御免である。 「こんな物いるか。出すなら他のにしろよ」 「じゃあ『荒月』でも飲む?これ以外はまともだから」 「それより断然『雪中花』だろ」 「どうせなら『岩清水』にしとこうか。俺の奢りだよ」 最高級酒の名を上げられ、ナルトはニヤリと口元を歪めた。 馴れ合う気もない相手だからと遠慮はしなかったが、どうやら神楽はかなり懐が豊かな人間
らしい。 間を置かずして用意された酒は、その名の通り清水のような透明度を誇っていた。 ナルトは今度こそまともな酒を二、三口飲み、その味に舌鼓をうちながらも、神楽を注意深
く観察することは止めなかった。 「…………なぁ、俺はここに世間話をするために連れ込まれたのか?」 「まさか。それもいいけど、それはまた別の機会にしようか。っと、何か言いたそうだね」 「そりゃあね、それこそたくさんあるさ。だけどまず、さっきの爆破事件について聞きたい。
あれはアンタの仕業か?」 「俺の仕業かそうでないか、そう聞かれたら迷わず『俺の仕業だ』って答えるよ」 平然と告げられた真相に、ナルトは頭を抱えたくなった。 テロ=神楽の構図は易々と想像できるものの、神楽の行動パターンを知り尽くしている訳で
はないナルトは、その結論に達するにはまだ早いと思っていたのだ。 大体、自分の本拠地を盛大に爆破する頭が、この世界のどこにいるというのか。 「一般人の犠牲をも厭わないと?さっすが〜」 「ふふ、じゃなければ過激派なんてやってないからね。あ、誤解があるようだから言ってお
くけど、俺は何も無差別にこんなことをやってる訳じゃないんだよ?人を快楽殺人鬼みたい
に言わないでくれるかな。これでも、自分の傘下の人間は何よりも大切にしてるつもりなん
だから」 「胡散臭いことこの上ないな」 「君って失礼な子だね。いい?その証拠にね、さっきのテロで死んだのは全員穏健派なんだ
よ?」 意外な言葉。 知らされた新事実に、ナルトは首を傾げた。 なぜに穏健派? 「潜入でもされてたのか?」 「うん、うちの結束は固いからね」 もしもし、神楽さん。 言葉が足りなくて、まったく意味が伝わりません。 テマリもそうだったが、この家系はもしかして言葉が足りないのだろうか。 あの時のテマリが言いたいことはわかったが、神楽の言いたいことはわからない。 まぁ、意図的にわからなくしているという可能性もなきにしもあらずだが。 『つまりね、こういうことなんだ』と。 いまだに紅揚羽入りの酒を飲み続けていた神楽は、その杯を掲げて見せる。 「俺の派閥の人間はね、実はそんなに多くはないんだよ。それこそ…………そうだね、砂の
人口の三割もいけばいいんじゃないかな。あんなことがあったばかりなものだから、慎重論
を支持する人間が多くてね」 『あんなこと』が一体なんであるか、そんなことはいちいち考えるまでもない。 木の葉崩しのことだ。 「その中で俺達がそれなりの影響力を持っているのはね、組織を構成する人間の大半が忍だ
からなんだ。一般人もいるけど、それはごく少数でしかないよ。忍っていうのは、忍になっ
た瞬間から長に忠誠を誓い続けなければいけないでしょ?その誓いを反故にしてまで俺のと
ころに来た訳だから、その意志ときたらすごいよ。そんな人間が固まってる訳だから、穏健
派の輩にとっては、それはもうかなりの脅威じゃない?」 どこか誇らしげな様子に、ナルトは否定はしなかった。 確かに、里の財政を支えている忍の大半が過激派に回ったとしたら、このままの状態を維持
したい穏健派にとってはかなりの脅威でしかないだろう。 だが、そんな過激派の内部事情を誇らしげに語られても、ナルトとしてはそれがどうテロに
繋がるのかがイマイチよくわからない。 「…………だから?」 「士気をね、奪いたかったみたい。実はここにある紅揚羽、穏健派の鼠が持ち込んだ物なん
だよ。過激派は『ならず者の集団』っていう偏見があるけど、厳しい規律だってあるし、統
率だってのらりくらりしてるだけの穏健派よりはある。それが気に喰わないから薬漬けにし
ようだなんて、まったく馬鹿げてると思わない?」 「それで鼠を建物ごと爆破と、そーゆーこと?」 「ううん、あと無様にも相手方の思惑に嵌ったうちの人間も。だって使い物にならなくなっ
た人間なんていらないし、規律を乱しておいてなんのお咎めも無しだなんて、それこそ他の
人間に示しがつかないでしょ?」 なんて言うか、わかる気もするが。 それは、思い切りが良すぎるというものではないだろうか。 「随分とまぁ、ブッ飛んだ考えだな。運が悪かったのかって思ってたけど、じゃあアノ子の 父親が死んだのも偶然じゃなかったり?」 「もちろん。あの男は立派な薬物常用者だったよ。でも、さっきも言ったけど、俺は人を殺
すことに喜びを見出したりはしないんだ。ただなんとも思わないだけで。だから子供は助け
たでしょ?」 「あぁ、そういえば…………」 あの行動はそういう訳だったのか。 神楽の存在自体に疑問と激しい嫌悪感を抱いていたナルトは、そんなことは微塵も考えてい
なかった。 「あの時は本当に驚いたよ。我愛羅がなんでか大きくなってるし、その我愛羅が思いもしな
かった人物の名前を呼ぶし…………まぁ、色彩が違うだけで君と結び付けるのに苦労はしな
かったけど。ところで、変化を解いてはくれないのかな?君の四代目と同じ、金色と青色の
綺麗な対比が、俺はことの他好きなんだ」 「あいにく、俺はそんなにサービス精神旺盛にできてねぇよ。俺に益がないのに相手の望み
を叶えてやるほど親切でもねぇし」 ナルトのきっぱりはっきりとした拒絶に、神楽はあからさまに残念そうな顔をした。 そんな顔をしても、嫌なものは嫌なのだ。 損得問題の話でもなく、ただ、目の前の男の望む通りにするのが癪なのだけれど。 「大体、あれだけ大胆に喧嘩ふっ掛けておいて、俺が素直にアンタの言うこと聞くとでも思
ってんの?」 そう言って、ナルトは敵意剥き出しの眼光を突き付けた。 「よりにもよってあの状況下で『九尾が欲しい』なんて公言しやがって。お蔭でこっちはい
い迷惑だ」 「あはは、ごめんねー。でもね、俺は君の都合なんて正直どうだっていいんだよ」 「あぁ、知ってたさ。じゃなけりゃ、あんなことできねぇもん」 異様な程に感情という感情を見せない無機質な目を、臆することなく見据える。 口元に自然と浮かんだ笑みは、強い敵を眼前にした時特有の、昂揚感と緊張感が入り混じっ
たものだった。 実際に戦ってはいないが、ここはまさに戦場なのだ。 神楽が笑う。 「俺はね、ずっと九尾を手に入れる機会を窺ってたんだ。先の忍界大戦で木の葉が隠れ里の
トップになってからというもの、砂は辛酸を舐めるような思いをしてきたからね。やっぱり、
過去の栄光は過去のままで終わらせたくはないじゃない?だから、最強の大妖として名高い
『九尾』なら、砂が再び頂点へと上り詰めるための切り札に充分なりうるんじゃないかと思
って。うちには守閣がいるけど、思ったよりも我愛羅が不甲斐なくてどうも決定打に欠けて
ね。俺の理想を実現するのには君が必要不可欠だって、最近になってようやくわかったんだ」 だからおいでよ、木の葉なんか捨てて。 再度の勧誘に、ナルトはこみ上げてくる笑いを必死に抑えた。 それこそ、神楽の都合などナルトは知ったことではない。 天井知らずの自分本位さも、ここまでくるといっそ清々しいものである。 だが、我愛羅を『不甲斐ない』呼ばわりするのだけはいただけなかった。 似たような境遇の自分がそう言うのはいっこうに構わないが、自分の身体が徐々に侵食され
ていく恐怖を知らない人間が気安く語るだなんて、言語道断。 自分以外の誰も、我愛羅をコケ下ろす権利などありはしないのだ。 「勝手に守閣を憑かせておいて勝手に幻滅するなよ。言っとくけど、自業自得だぜ?守閣に
憑かれてるのが我愛羅じゃなかったら、今頃この里、跡形も無くなってるぞ」 ナルトは別室にいるはずの我愛羅を思い出し、小さく笑った。 こんなこと、本人がいる前では絶対に言ってやらない。 「―――――それに、俺がなんでここに来たと思ってんだ?」 「うーん…………俺にとっては嬉しくない展開のため?」 「ご名答!」 場違いな程、晴々とした笑顔。 目蓋を掠めた赤い前髪から覗く空色の目は、神楽とは違い本当に笑っていた。 「強情だねぇ、君も」 「アンタもいい加減しつこいよ」 「お互い様ってことかな。普通だったら、ここで力に訴えるのがセオリーなんだけど」 「へぇ…………アンタ、俺とやり合うつもり?」 「そんな訳ないでしょ。九尾の力を自由自在に操れる君と戦って、無事で済むはずがないも
の。俺は自分の身の程ぐらい弁えてるつもりだしね」 「嘘つけ。身の程を弁えてる人間が、最強の妖狐に手を出すかよ。いいか?俺は九尾を渡す
つもりはないし、協力もしない。俺と俺の周りに降りかかる火の粉も、当然払わせてもらう。
だけどな、アンタが俺のことを綺麗さっぱり忘れてくれんなら、俺としてはそれで万々歳な
んだぜ?」 「あれ、意外だなぁー。俺はてっきり、抹殺命令でも出てるのかと思ったのに」 「似たようなことを言われただけだ。はっきりとした抹殺命令は出ていない。要は、木の葉・
砂間の同盟さえ崩れなければいい。だから、アンタの生死はほぼ俺の一存で決まる…………
この意味がわからない程馬鹿じゃないだろ」 「君に俺を殺せるとでも思ってるの?」 「じゃあ逆に、俺に殺されないという絶対の自信はあるのか」 「あるよ。だって君、自分からは手を出さないじゃない?」 神楽はさも可笑しいことのように声を漏らして笑い、そのアメジストの瞳にナルトの艶然と
した笑みを収めると。 何がそんなに嬉しいのか、満足気に頷いた。 「うん、やっぱりそう。君って、基本的に自分以外のことには無関心でしょ?自分と、自分
を取り巻く最低限のもの、それ以外はどうなったっていいんだよね?だからこっちから干渉
さえしなければなんの問題もないんだ。この前差し向けた刺客だって、その時害があったか
ら殺しただけで、その後なんにもなくて今に至るじゃない?君と俺の実力の差がいか程かは
予想もつかないけどね、少なくとも、下手な行動にさえ移らなければ命は保障されるんだか
ら君なんて怖くないよ。残念でした!」 こんなことを言われたのは初めてだ。 神楽から見えない角度で口をへの字にしたナルトは、この男が親類でなくて良かったと切実
に思った。 三兄弟には悪いが、もしそうだとしたらそれだけで悲劇だ。 ズキズキと痛むこめかみを押さえ、鉛のように重い溜息をつく。 もう嫌だ、こんな戦意がどんどん吸い取られていくような会話。 「そんなトコも四代目にそっくりだよ。さすが親子」 「まるで俺のオトーサマと認識があるような物言いだな」 「うん。だって俺、彼の」 「カァグラァァッ!!!」 神楽の言葉を遮ったのは、両開きの扉を蹴破った乱入者。 聞き覚えのある声にぎょっとして腰を浮かし、振り返るとそこには。 監禁されていたはずの我愛羅の襟首を掴んでいる無表情な鴇と、豪快に扉を蹴破ったと思わ れる伊吹の姿があった。 小動物系の愛らしい顔を歪めた伊吹は、肩を激しく上下させながら神楽を威殺しそうな目で 睨む。 「い、伊吹…………?」 誰かしら張り付いてるとは思っていたが、さすがにこんな登場の仕方は想像もしていなかっ たナルトは、荒い呼吸を繰り返している伊吹に恐る恐る声を掛けた。 その目付きのままチラリとナルトを見た伊吹は、どこからどう見ても憔悴しきっているナル トの様子に片眉を上げ、無言のままナルトを抱き締めた。 「姫、可哀想に…………!辛い目に遭ったんだね」 「は?」 「もう大丈夫だよ。こんな汚れた大人、僕がきっちり成敗するから。姫はゆっくり休ん でて。ね?」 「はぁー??」 更に強く抱き込まれる。 痛い程に。 「ちょっとカグラ!姫に一体ナニしたの!!?」 「久し振りだね、伊吹。相変わらず凄まじいまでの若作りっぷり、 ホント感心するよ」 「その言葉、そっくりそのままお返しするよ!!そんなことより、昔四代目に相手にされな かったからって姫に絡むの止めてよね!!!」 「人聞き悪いな〜話をしてただけじゃないか。それだけで目くじら立てるなんて、心が狭い 証拠だよね」 「狭くて結構!!カグラ相手に広い心なんて持ってられる人間なんて絶対いないよ!!」 「あの〜話が全然見えないんデスけど…………」 伊吹の腕の中のナルトがボソッと呟くと、伊吹は『あ、ごめんね姫。そうだよね、姫が生ま れる前の話だもんね』と前置きし、懇切丁寧な説明をしてくれた。 「あのね、目の前のこのイケ好かない男はね、前は砂隠れの大使だったんだ。就任式で、は た迷惑にも四代目に前代未聞の告白をしたね」 「え゛」 思わず濁音付きの反応。 神楽がすかさず訂正を入れる。 「言っとくけど、恋愛対象としてじゃないからね。人間として好きになったんだから。わざ と誤解されるような説明しないでくれるかな?」 「似たようなモノでしょ。でもね、案の定相手にされなかったよ。四代目曰く、 『取り繕うとかそういう問題じゃないね。彼を嫌 うってことが、最初から僕の遺伝子に刻み込まれ てるんだよ』って。もともと好き嫌いがはっきりしてた四代目がそ う言うんだから、それこそよっぽどのことだったんだよね」 なるほど。 神楽に対して常に抱いていた嫌悪感は、遺伝子の問題だったのか。 「相手にされないってのに、それからもシツコイくらいに言い寄るし」 「親しい間柄になりたかったんだ」 「『鬱陶しい』とか『邪魔』だとか『死ね』とまで 言われても、暇を見つけては満面の笑顔で通ってくるし」 「人生の春だったなぁ〜…………毎日が楽しかった」 「挙句の果てには、砂から帰還命令が出ても無視してまで理由もなく滞在を続けて、痺れを 切らして迎えに来た遣いと乱闘までしでかしたんだよ?」 「ふふっ。若かったからね、あの頃は」 今となっては遠い日に想いを馳せる神楽に、ナルトは口元を引き攣らせた。 これは、なんて言うか…………。 若き日の父親の気持ちもわからなくはない。 もしそれが自分だったら、どんな卑怯な手段を使っても、必ずやこの手で現世から抹消して いることだろう。 「まさか、僕も安曇も『カグラ』が『神楽』だとは思わなかったよ。でも考えてみればその 通りだったんだよね!」 「だって、大蛇丸に彼の息子が冷遇されてるなんて聞いたら黙ってられないよ。うちに籍を 移してさ、何不自由ない生活をさせてあげたかったんだ。だから今まで俺、頑張ってきたん だよ?彼の遺志をことごとく踏みにじる『木の葉』に復讐してやるためにね」 「ちょっと待て。アンタ、俺の中の九尾が欲しいんじゃなかったのか!?だから『生きてさ えいれば』って、あの時過激な伝言を」 「九尾の御蔭で傷は治るんだよね?だから問題ないと思ったんだ。それと、九尾が必要だっ ていうのは嘘じゃないよ。だけどそれって、君を迎えれば自然とオマケとして付いてくるじ ゃない」 「つまり、大義名分は逆だったと?」 「うん、本当はね。それらしい理由作った方が君も納得してくれるんじゃないかな〜って思 って。君が砂に来てくれれば俺は満足、里の力も向上するし一石二鳥でしょ」 もう泣きたい。 なんのために、自分は欠陥だられの身体に鞭打って砂まで来たのだろう。 少なくとも、こんなことのために来たのではない。 こんなことのために来たのでは。 少なくとも―――――。 ナルトは伊吹の胸を押し返し、ゆらりと立ち上がった。 「…………は…………か?」 「ん?なぁに?」 「『言いたいことはそれだ けか』っつったんだ、この 勘違い自己中野郎!!!」 ―――――その日、砂の里(といっても極一部)は九尾の脅威に晒された。 ナルトのコントロールの賜物で、幸い死者が出ることはなかったが、それは危機察知能力 が高く、逃げ足が異様に速かった神楽を始末することが叶わなかったということで、ナルトと しては非常に不本意な結末である。 しかし、結果として過激派は当初の予定通り秘密裏に一掃され、砂の里には平穏が戻ったの だから任務自体は遂行と見なしていいだろう。 この日のことを、真相を知っている者はこう呼ぶ。 狐雪(こせつ)事件―――――雪と共に狐が舞った、超個人的な理由が引き金となった名前 だけがマトモな事件だと。

END

†††††後書き††††† シリアスなのかホノボノなのかギャグなのか、よくわからない話になりました。神楽問題を 片付けようと思って書いたら、なぜか40Pを越す大作に…………。な、なんで!?でも、 その後にすぐ我に返って、三つに分けました。ほっ。これで神楽編は終わりとなって、次は 大蛇丸さんのトコに殴り込みにでも行くのではないかと思われます。(やっとカブトさんが出 せる☆)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送