その日、三代目火影はおおいに悩んでいた。
ただでさえ気苦労が絶えない職業に就いていながら、近年希に見るほど、それはそれは悩ん
でいた。
それというのも、翌日に差し迫った重要な年中行事が原因である。


「ほんに困った、じゃが今更中止にする訳にもいかんしのぅ…………」


皺だらけの手に長時間握られ続けていた細筆から、ぼたぼたと盛大に墨の雫が落ちる。
しかし、思案に暮れる三代目はそれにまったく気付かず、卓上の書類にできた黒い染みは広
がるばかりだ。


「あ―――――ッ!!」


悲鳴を上げたのはナルトだ。


「こんの糞ジジイ!!何ボケてんだよ!!それ、今日中にGOサイン出さなきゃなんねぇ新
しい灌漑設備建造の許可証だぞ!?」

「む、こりゃいかん」

「それはジジイの頭の方だ!!髪の毛だけじゃなく脳味噌
の容量まで少なくなってんじゃねぇだろう
な!?」


ナルトは三代目から筆と使い物にならなくなった書類を奪い取り、すでに顔馴染となった三
代目の補佐官にボール状に丸めた書類を放った。


「すぐに新しいの手配して!!あと今日中に上げなきゃなんねぇ書類は全部俺に回せ!!ジ
ジイの筆跡真似ることぐらい朝飯前だからな!!!」

「し、しかし、内容の確認は―――――」

「この俺がそんなこともできないとでも思ってんのか!?無駄口を叩かずさっさと行きやが
れ!!」

「は、はい!!」


可哀想に。
暗部第零班の隊長様に本気で怒鳴られた補佐官は、血色の良かった顔を蒼白にし、足を縺れ
させながら飛び出していった。


「随分と酷なことをしおる…………」


三代目の心底同情したような呟きに、一際眼光を鋭くしたナルトが諸悪の根源を睨んだ。


「誰のせいだ、誰の!」


悪態をつきながらも、ナルトの手は止まらない。
山と積まれた書類に流麗な文字でサインし、休む間もなくチェック済の判子を押していく。
期限が押し迫っている物を片っ端から発掘し、尚且つその後の処理を頭に入れて分類してい
くナルトは、間違いなくこっちの方面でも有能だ。
そもそも、なぜナルトが執務室で『火影代理』のようなことをしているのか。
それは今までの遣り取りからよくわかるように、三代目がまったく仕事に手が付かず、たっ
た今泣きそうな顔で出て行った補佐官に、涙ながらに訴えられたからである。
そんな馬鹿な、と。
その時は思ったが、実際にその様子を見て納得した。
消しゴムで墨をすり始めれば、そりゃあ誰
だって泣きつきたくもなるだろう。
時折思い出したかのように『困った』とボヤくその姿は、痴呆老人そのものだ。
ナルトの中にある三代目のイメージは『口煩い頑固ジジイ』が主だったが、真面目な分、自
分の仕事はきっちりこなしていたから、その衝撃は余計に強かった。
仕方なく助け船を出してやっても、今のように墨を落とすわ、湯飲みをゴミ箱代わりにする
わ、重要書類で九十九折をするわ…………。
さすがのナルトも、いい加減キレるというものである。


「頼むから、ジジイはもう何もしないでくれ!!余計な仕事が増えるだけだ!!!」


これ以上貴重な休暇を潰したくねぇ、と。
恨めしげに吐き捨てたナルトに、『困った』を繰り返していた三代目は、何かを思いついたの
か、ふいに『おぉ!』と感嘆したような声を上げた。


「あやつ等は休暇中か!すっかり忘れておったわい。零班がおったの」

「はぁ?」


顔を上げたナルトは手を止め、訝しげに老人を見やる。
しかし三代目は、『そうかそうか』と勝手に自己完結し、ナルトに事情を説明しようともしな
い。

零班がいたからなんだってんだ?

そう言及しようとしたナルトだったが、その拍子に只今の時刻が目に入り、慌てて作業に戻
った。
朝一に叩き起こされてからすでにもう八時間近く経っているというのに、今日中に目を通さ
なければならない書類は、なんと厚さにして10cm近くも残っている。
ナルトの事務処理能力をもってしても、定刻に『お疲れ様でしたー』は絶望的だったのだ。






ちゃんと問い詰めておけばよかった、と。
ナルトが悔やむことになるのは、その翌日のことである。












夢は夢でしかなく‐前編‐

翌日。 三代目の悩みが解決した代わりに、今度はナルトが驚いていた。 真っ青なビー玉のような目を見開き、『ドベのナルト』の口数が少なくなってしまっているこ とにも気付かないほど、ひたすらナルトは驚いていた。 そして、その驚きが過ぎ去ると、次にナルトを襲ったのは異常なまでの腹立たしさだ。 一体全体、これはどうしたことか。 夢かはたまた幻か。 腹の底からふつふつと湧き上がってくる怒りの水泡が体内で弾けるのを感じながら、タイプ は違えど美形であることを認めざるをえない四つの顔を、彼等の周りにできた人垣から外れ て見ていた。 本日、下忍四班が集まったのは他でもない。 毎年恒例、年に一度の交流会があったからだ。 『交流会』というのは、アカデミー在学中のアカデミー生と下忍の間で行われる合同演習の ことだ。 アカデミー生はここで初めて実践を経験することになり、下忍は下忍で忍としての能力値を 底上げするという名目で行われているため、それなりにレベルは高い。 年ごとによって演習の内容は異なるようだが、今年の内容は、下忍が一人とアカデミー生が 三人の計四人で構成される、十二の小隊による大規模な鈴取り合戦だった。 一つの班につき一つの鈴が支給され、それは誰もが所持してもいいのだが、鈴を奪われた時 点でその班は失格となる。 その鈴には持ち点があり、下忍・アカデミー生混合班の鈴の点数は三点だ。 勝敗はタイムアップ時の最終的な持ち点で決められるが、それには特別ルールが存在した。 この交流会の監督役である四人の上忍も鈴を所持しており、その鈴の点数が、なんと一つに つき十点なのである。 他の班から逃げ続け、失格とならない代わりに勝ちも望めない班には、一発逆転のチャンス なのだ。 もちろん、上忍と即席のおこちゃま班が真っ向からぶつかれば勝敗はわかりきっているため、 武器も術の制限もない下忍とは逆に、上忍側は指定された以外の武器の使用及び高等忍術の 使用は禁じられていた。 このようにかなり本格的な演習は滅多にないため、大きなハンデがあるとはいえ、主役であ る子供達は自分の実力を試すことができる機会を楽しみにしていたのである。 しかしあいにく、この交流会直前に、監督役となるべき下忍班の担当上忍は皆、短期任務へ と借り出された。 では、一体誰が監督役になるのだ。 まさか中止になるなんてことはないだろうな、と。 そんな素朴な疑問に対する答が、ナルトの目の前で繰り広げられているこの光景である。 小豆色の髪に同色の瞳の、優しげな面立ちをした青年に。 鋼色の髪に、前髪の一房だけ緑色のメッシュが入った小柄な少年。 黒髪短髪の、精悍な顔立ちの青年に。 紺色の髪に褐色の肌の、異国の青年。 上忍服を着た彼等はミーハーな女性徒に囲まれ、色が付いた嬌声を浴びせられていた。 この四人、もう口にせずともわかると思うが、暗部第零班の面々であり、自他共に認める熱 狂的なナルト崇拝者である。 その四人がなぜ、素顔を晒してこんなところにいるのか。 思い当たる節があったナルトは、盛大に舌打ちした。 昨日使い物にならなかった、そろそろ引退時の老爺だ。 「な、なんであの人達が…………ナルト君の命令?」 動揺したヒナタの問いに、ナルトは怒りを押さえ込みながら平静を装い、軽く肩を竦めた。 「さぁ?俺は全然まったくこれっぽっちもそんな命令した 覚えないけど」 「じゃ、じゃあどうして…………」 「それをこれから問い詰めようかと思ってるんだ―――――まぁ、真意はともかく理由は大 体想像つくけど」 壮絶な笑みを浮かべたナルトを見て眉を顰めたネジが、忠告の言葉を。 「…………ほどほどにな」 「いやぁ〜どーだろ。それはアイツ等次第かな?」 相手の出方によって、その対応にはそれなりの格差が存在する。 それが、いつもうずまきナルト少年の根底にあるルールだ。 これ以上の会話はマズイ、と。 周囲の目を気にして日向一族の幼馴染から離れたナルトは、先ほどまでのようなヒナタやネ ジとの遣り取りとは違い、主に暗部や上忍が任務時にこちらの動向を敵に知られることを防 ぐために使用する隠話に切り替え、あどけない子供達に囲まれている四人に強い思念を送っ た。 『お前等、いつからジジイの犬に成り下が ったんだ?』 群がる女生徒を追い払う仕草をしていた四人が、一瞬だけ顔を強張らせる。 しかし、他の人間に聞かれたくない内容だからこそ隠話を使って話し掛けてきた主の手前、 さすがにあからさまな反応はできないらしく、四人はなんとかそれだけで留まった。 ―――――とは言っても、それはただ単にリアクションを抑えたにすぎない。 子供達に何か指示のようなものを出しながら、それと同時に隠話でナルトに応えたのは伊吹 だ。 返ってきた声は動揺のあまり情けないことになっていた。 『や、やだな〜姫ったら!今更三代目の犬なんかになる訳ないじゃない。僕達はこれから先 もずっと姫だけの犬なんだから』 『ならなんでここにいる。まさか表の世界で真っ当に生きたくなったとか?』 『止めて下さい。この里で裏表もなしに真っ当に生きることを考えただけで、全身に鳥肌が 立ちます!』 【心外だ】とでもいうような抗議に、ナルトも負けじと抗議返しを。 『安曇と伊吹はこの里で生まれてこの里で育った分ちゃんとした戸籍があるからいいかもし れねぇが、刹那と鴇はあくまで【一般の移住者】としての仮戸籍しか持ってないんだぞ?変 化もせずに忍の活動して、厄介な奴等に見咎められたらとか考えなかったのか』 村や町間のような気軽な引越しとは違い、忍の隠れ里への移住はどんな事情があろうとも不 可能に近い。 それは、移住希望者が間者であった場合を考えた里がとる自衛手段であるから、そんなこと で誰も非難はしないし、切羽詰まった状況に置かれている人間もそんな事情の前では相手に されないとわかっているから、わざわざ危険が多い隠れ里になど入りはしないのだ。 しかし、何事にも例外というものがある。 その数少ない例が婚姻と、もともと里の出身であった人間の帰郷。 それでもどこかの里と密通していないかなど、その人の経歴という経歴を徹底的に調べ上げ られる。 こうして問題がなければ、そこで初めて木の葉の籍に入ることができる訳だ。 刹那と鴇を自分の傘下に引き込んだ時、ナルトはその法律の穴を掻い潜り、もし発覚すれば 死罪になるような不正をはたらいて二人の居場所を確保した。 だから刹那と鴇が他里の忍で、しかも今現在、木の葉の暗部として活動しているということ は知られてはマズイことなのだ。 一般人のはずの安曇と伊吹が実は暗部でした、というのとは訳が違いすぎるのである。 『酷い、姫!まるで僕と安曇が悪いみたいじゃない!!姫は僕達が刹那と鴇を巻き込んだっ て思ってるの!?』 『そうじゃないのか?』 『違うよ!だって三代目の遣いの言葉を聞いて一番最初に頷いたのは、この馬鹿な んだから!!』 【この馬鹿】呼ばわりされた刹那が、激しく反論する。 ―――――とは言っても、やはり表面上は相変わらず平静そのものだったが。 『俺は【面白そうだ】っつっただけだぞ!?お前の方こそ【姫の上官になれるの?】とか言 いながら目ぇ輝かせてたじゃねぇか!!』 『それを言うなら鴇だって一人で妄想してたじゃない!!それに安曇だって 【先生…………何やらイケナイ響きですよね】 とか言って怪しく笑ってたもん!!』 『妙な脚色しないで下さい。私はあくまで事実を言ったまでです。別に 【一度でいいから御子にセンセイと呼ばれたい。 きゃっ☆】なんて思っていません』 『あ―――――っ!!ほらほら姫聞いた!?これが安曇の本音なんだよ!!そうやって一人 で【自分が一番まともです】みたいな顔するのは卑怯なんじゃないの!?』 『失礼な。それこそ、自分のことを棚に上げて人に罪をなすりつけるのは卑怯以外の何物で もないんじゃないですか?刹那も鴇もそう思うでしょう?』 『うわ、コッチに話振るなよな!!』 『刹那、なんか文句あるの!?』 ナルトは呆れた。 じゃあ何か? 自分にただ『先生』と呼ばれたいがために、自分ではなく火影の命を受けてノコノコと現れ たというのか。 たかが、そんなことのために? 『お前等の言い分はよくわかったぜ。よぉくな…………』 首筋にキンキンに冷やした蒟蒻を押しつけたかのような声に、高等話術である隠話での醜い 言い争いをピタリと止め、恐る恐るナルトを見た。 しかし、ナルトはすでに『ドベのナルト』になりきっており、その子供子供した顔を不満気 なものにして文句を言うだけだった。 「『センセイ』達!!時間がもったいないから早く始めようってば!!!」 その言葉が棘だらけに感じられたのは、おそらく気のせいではない。 厳正な籤引きの結果。 ナルトが隊長を務める班のメンバーとなったのは、もはやお決まりになりつつある木の葉丸 と愉快な仲間達だった。 本当に厳正なものだったかどうか疑わしいが、ナルトが見ている限り細工をされた様子がな いから、おそらく本当に偶然なのだろう。 「やったぁーっ!!ナルト兄ちゃんが付いててくれれば、もうダントツ一番間違いなしだぞ、 コレ!!」 一足も二足も早い絶対勝利宣言に、木の葉丸の同期の子供達が『え?』とでも言うような顔 をしてナルトを見た。 「ナルトって、『あの』うずまきナルト…………?」 あの? いっせいに視線を向けられたナルトは、言葉に詰まりながらも首を傾げた。 大人達が言う『あの』は悪意が満ちているが、この無知で可愛いお子ちゃま達の目は、なん ていうか―――――。 熱っぽいのだ。 その内の一人がナルトのジャケットをガシッと掴み、興奮したように早口で捲くし立てた。 「アカデミーの怪を作ったナルト先輩ですか!?」 聞き耳を立てていたサクラとイノが、同時に顔を見合わせる。 「「アカデミーの怪?なんなの、それ」」 しかし、そんなことを言うのだから二人が事の真相を知るはずもなく。 結局は、何か知っていそうなナルトに話の矛先が向くのだ。 事実、ナルトはそれが何か知っているし、ジャケットの袖を掴んで離さない少年の言葉を否 定することはできない。 『アカデミーの怪』とは、ナルトがまだアカデミーに通っていた頃に行っていた報復活動の ほんの一部が一人歩きし始めたものである。 その真実を知っているのは、自分を真夜中に叩き起こしてナイトツアーに強制参加させてく れた木の葉丸以下略。 確か口止めをしたはずだったのだが。 「…………お前等、バラしたな?」 大袈裟に肩を揺らした木の葉丸が何か言うより先に、ナルトと同班の少女が想い人と接する 時とはまるで違う横柄な態度でナルトを問い詰めてきた。 「ちょっとナルト、アンタ何したのよ?」 「な、『何』って、俺はたいしたことは…………」 「嘘よ。それなりにスケールが大きいことでもしなきゃ、そんな妙な噂話生まれやしないわ」 イノまで。 その顔には『この私に知らないことがあるなんて許せない』と大きく書かれているような気 がして、ナルトは溜息をついてしまう。 本当にたいしたことはしていないのだ。 ただ、教師が情けなく転がり落ちるような階段を作ったり(あれは愉快だった)。 骨格標本を盛大にブチ撒けて胸クソ悪い女教師を退職に追いやったり(ざまぁ見ろ)。 殺人未遂を犯した巨漢を跳び箱に詰めてピンク色の世界に誘ったり(かなり不本意であるが)。 特殊な性質を持つクリスマスカラーのフランソワを用務員にけしかけたり(今頃きっと仲良 しこよしだ)。 そんなことをしただけ。 もしもナルトと懇意な人間が知ったら、思いきり笑い飛ばすか容赦なく責め立てることだろ う。 ナルトは二人の質問をはぐらかし、今度こそ木の葉丸を睨んだ。 「なんだってこんな面倒なことになってんだってば?」 「わ、わざとじゃない!三人で話してたのをたまたま聞かれて、それで一気に広がっちゃっ たんだもん!!」 「なぁにが『だもん』だ、この馬鹿」 ナルトが木の葉丸の頭を小突くと、湧き上がるのは歓声。 「いいなぁー木の葉丸君!ナルト先輩に構ってもらえて!!」 「はーい、先輩!私と握手して下さい!!」 「あ、ずりぃ!ナルト先輩、俺も俺も!!俺はサインがいいな!!」 「俺には『兄貴』って呼ぶ権利を下さい!!」 先ほどの私兵四人同様。 今度は自分が小さな塊にもみくちゃにされ、ナルトは目を白黒させた。 なんなんだ、この異常なまでの盛り上がりは。 ちゃっかり避難していたモエギが、気まずそうに口を開く。 「ナ、ナルト兄ちゃんの武勇伝は、アカデミーの皆のハートをガッチリと掴んだんだよ」 別にそんなモノ掴みたくありませんでし た! 「ほらほら、無駄話は止めてちゃんと分かれて下さい」 さすが、付き合いが長いだけある。 ナルトの雲行きが怪しくなったのを肌で感じたのか。 安曇が(内心)慌てた様子でナルトと子供達の雪崩を引き剥がすが、ナルトはちらりと一瞥 しただけで、何をする訳でもない。 もみくちゃにされたせいで乱れた衣服を整え、安曇の指示に従って名残惜しそうに散ってい った子供達を見送り、今回一緒に行動することになった木の葉丸達の下へ。 それぞれの班ごと整列した下忍と忍予備軍の前で、ファイルを捲りながら伊吹がこれからの ことを説明した。 「えっと、制限時間は六時間。だから午後の三時までだね。昼食は、タイミングを見計らっ て必ず班単位で摂ること。もちろん、昼食中の班への奇襲もありだから。あと、怪我人が出 たりして続行不可能だと判断した場合は、今から配る発煙筒で合図出してね〜」 十二本の発煙筒が鴇の手によって配られる。 それをナルトに手渡した鴇が機嫌を伺うように視線を向けてくるが、ナルトはさりげなく鴇 の手を叩いた。 『さっさと行け』という冷たい意思表示に傷ついた顔をした鴇だったが、そこで立ち止まる 訳にもいかず、表面上は何もなかったように通り過ぎる。 その間にも説明は最終段階へ。 「じゃあ、A班から順に三分の間隔を空けて出発するように。俺等四人はL班が入っ後、一 人一人分かれっから」 刹那による締めの言葉に良い子のお返事を返した生徒達は、退屈な説明が終わったとたん、 再びキャッキャッと騒ぎ始めた。 A班やB班のメンバーはすぐに出発となるため息をつく間もないが、それ以外―――――特 にかなり待たされるとわかりきっている班は、地面に座り込み、自己紹介などをして交流を 計っている。 しかし、ナルトの班はD班であるため、そうもしていられない。 そもそも、ナルトと弟分の木の葉丸達は今更交流を持たなければならないほど浅い仲ではな いのだ。 雑談をしながら、直に回ってくるだろう順番を待つ。 木の葉丸のとりとめのない話に、態度を悪く思われない程度に適当に相槌を打ちつつ、ナル トは無言で周囲を観察した。 そして最終的には、無断で今回の交流会の監督役になっていた四人組へと視線を移し、その 光景を見た者が口を開けて呆けそうな、ひたすら綺麗な笑みを浮かべる。 彼等は気付かない。 細められた目は楽しげな光を宿しているが、その笑みを向けられた彼等が楽しいかどうかは、 この際別問題である。 「さぁて、久々に狩るか…………」 その恐怖の犯行予告を聞いた人間は、誰一人としてこの場にいなかった。 すぐ側にいた木の葉丸達ですらナルトが笑ったことに気付いた程度だったのだから、仕方な いかもしれないが。 †††††後書き††††† タイトルでわかると思いますが、やっぱりコレも続きます。―――――といっても、そんな に長くはありません。続きだって頭の中にありますので、放置するつもりもございません。 ただ、やっぱり時間がないのでございます。本音を言えば一気にアップしたかったのですが、 これからしばらくは冗談でなく更新ができなくなると思い、苦し紛れに分割アップ………… む、無念ですっ↓↓ 古風様、もうしばらくお待ち下さい!(土下座)
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